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子宮付属器(卵巣、卵管)腫瘍の悪性/良性を予測するルールを作成

超音波検査の結果に基づいて卵巣と卵管の腫瘤が良性か悪性かを手術前に予測するシンプルなルールが報告されました(BMJ誌2011年1月8日号)。

このルールの精度を前向きに評価したところ、精度は十分に高く、同ルールを適用し診断不確定となった症例のみ、経験を積んだ読影者による主観的な評価を受ける方法が、より正確で効率がいいことが示されました。

子宮付属器(卵巣と卵管)腫瘍に対する術式は、腫瘍が陽性か悪性かで大きく異なります。良性か悪性かを予測するために経膣式超音波検査は有用ですが、読影者の経験によって診断精度は異なります。

著者らが作成した付属器腫瘍が悪性か良性かを区別するためのシンプルなルールは以下の通りです。

 *悪性腫瘍の5特徴:不整な形態で充実性のもの(M1)、腹水貯留(M2)、乳頭状構造が4つ以上見られる(M3)、不整な多房性充実性腫瘍で直径が100mm以上(M4)、カラードプラー検査により豊富な血流が見られる(M5)

*良性腫瘍の5特徴:単房性嚢胞(B1)、最大の充実部の直径は7mm未満(B2)、音響陰影(B3)、滑らかな多房性腫瘍(B4)、カラードプラー像に血流を認めない(B5)

ルール1:悪性特徴が1つ以上見られて良性特徴が1つも見当たらない場合、腫瘍は悪性に分類

ルール2:良性特徴が1つ以上見られて悪性特徴が1つも見当たらない場合、腫瘍は良性に分類

ルール3:悪性特徴と良性特徴の両方が認められる場合と、悪性特徴も良性特徴も認められない場合を不確定とする既存の予測モデルとして、ロジスティック回帰モデル1と2、RMIを用いた。

*ロジスティック回帰モデル1:年齢、腹水の有無、乳頭 状隆起部分の血流の有無、充実部の直径の最大値、嚢胞壁の不整、音響陰影の有無、卵巣癌の既往、ホルモン補充療法(HRT)中か否か、病変部の直径の最大 値、検査中の病変部の痛み、充実部のみからなる腫瘍の有無、カラースコア(1〜4)から構成される

*ロジスティック回帰モデル2:年齢、腹水の有無、乳頭状隆起部分の血流の有無、充実部の直径の最大値、嚢胞壁の不整、音響陰影の有無の6項目からなる

* RMI:超音波所見、閉経か未閉経か、CA125値を元に予測する

主要アウトカム評価指標は、摘出された腫瘍の組織学的分類を参照基準とした場合の診断の感度と特異度に設定されました。

詳細はコチラ

→今回は、大規模な集団を対象に、本モデルの精度を前向きに評価するIOTAフェーズ2試験を8カ国の19施設で実施されました。

05年11月から07年10月まで患者登録を実施。経膣式超音波検査を受け、その後120日以内に手術(腹腔鏡手術または開腹術)を受けた女性1938人を登録。平均年齢は46歳、38%が閉経しており、11%がホルモン補充療法を受けていた。

超音波検査は5年以上の経験がある婦人科医または放射線科の医師が実施。状況に応じて経腹超音波検査などを併用した。検査にはグレースケール(形態学的な評価を行う)とカラードプラー(血流を評価)の両方を用いた。

組織学的分類では、1938人のうち1396人(72%)は良性腫瘍、373人(19.2%)は浸潤性の原発癌、111人(5.7%)は境界悪性腫瘍、58人(3%)は卵巣の転移性腫瘍と診断された。

シンプルなルールは、1501人(77%)を良性または悪性に分類できた。感度は92%(95%信頼区間89-94%)、特異度は96%(94-97%)だった。

それら1501人について、経験ある読影者が主観的な評価を行った場合の感度は91%(88-94%)、特異度は96%(94-97%)で、ルールを用いた場合とほぼ同等だった。

そのほか、ロジスティック回帰モデル1の感度は94%(91-96%)、特異度は92%(91-94%)、ロジスティック回帰モデル2ではそれぞれ95%(92-97%)と91%(89-92%)だった。

次に、シンプルなルールで診断不確定となり、腫瘍マーカーのCA-125値が得られた357人を対象に、他の評価法の悪性/良性判定精度を調べた。評価の 感度と特異度は、主観的な評価がそれぞれ89%(83-93%)と78%(72-83%)、RMIを用いると50%(42-58%)と84% (78-88%)、ロジスティック回帰モデル1は89%(83-93%)と44%(38-51%)、ロジスティック回帰モデル2は82%(75-87%) と48%(42-55%)で、主観的な評価の精度が最も高かった。

登録されたすべての女性(1938人)を対象にシンプルなルールを用 いて患者を選別し、そこで不確定となった患者について専門家が主観的な評価を行うと、感度は91%(88-93%)、特異度は93%(91-94%)に なった。どの評価法と組み合わせた場合よりも、主観的評価との組み合わせの精度が高かった。

一方、1938人すべてに主観的な評価を行った場合には、感度は90%(88-93%)、特異度は93%(91-94%)で、シンプルなルールと主観的評価を組み合わせた場合と同等だった。

シンプルなルールを用いて診断が不確定になった症例のみ、経験を積んだ読影者に紹介する方法の診断精度は十分に高かった。これにより診断は簡単になり、コストは抑制でき、患者の管理が向上すると期待された。


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