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がん化学療法に伴う貧血「ESAの早期承認を」

卵巣がん体験者の会が厚労省へ要望書を提出

卵巣がん体験者の会スマイリーは本日(4月21日)、がん化学療法に伴う赤血球造血刺激因子製剤の早期承認を求める要望書を厚生労働省に提出した。要望書の中で同会代表・片木美穂氏は「化学療法に伴う貧血が高い確率で起きている。赤血球造血刺激因子製剤〔エリスロポエチン(EPO)製剤;ESA〕が早期に承認され、貧血に苦しむ患者の治療の選択肢の1つとなることを強く望む」と訴えている。

同会代表・片木氏は、がん化学療法に伴う貧血治療におけるESAの早期承認を求め、厚生労働大臣および厚労省、医薬品医療機器総合機構に対し、要望書を提出した。

ESAについては、既に自己輸血や腎性貧血に対して保険適用されている。しかし、がん化学療法に伴う貧血改善治療に対してはこれまでは適用外とされ、現在、承認審査が行われている。

同会によると、化学療法の副反応の1つとして「貧血が高い頻度で起きている」という。婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構主導による卵巣がんの臨床試験データでは、初回化学療法でパクリタキセル(3週ごと)とカルボプラチンの併用療法を行った卵巣がん患者314人中137人(44%)が貧血を発症。パクリタキセル(毎週)とカルボプラチンの併用群では、312人中214人(69%)が貧血を発症したという。

貧血によるQOLの低下や、輸血治療による感染症リスクなどのデメリットから、貧血治療の選択肢の1つとして、同会ではESAの早期適応拡大を要望している。

ただ、ESAには血栓症の増加や、ヘモグロビン値が高い患者への投与については不利益があるとの海外での臨床試験結果も報告されている。同会はそうしたESAのリスクも認める一方、国内第V相臨床試験結果から日本輸血・細胞治療学会が示した、ESAに貧血改善効果を期待できるとする見解も紹介している。

患者がリスクとベネフィットの両方を理解した上で、現行の輸血治療かESAか、あるいは治療をしないかを自ら選択できることが望ましいと訴えている。


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