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BRCA1/2遺伝子変異の卵巣がん患者は生存転帰が良好

浸潤性上皮性卵巣がん患者の約10%にBRCA1/2遺伝子変異が見られる。最近の研究でBRCA2遺伝子変異陽性が上皮性卵巣がんの予後改善と関係することが示唆されていますが,BRCA1遺伝子変異陽性の影響は明らかにされていません。

今回、BRCA遺伝子変異陽性の卵巣がん患者さんは変異のない患者さんと比べ生存転帰が良好であることを示すデータが,国際共同研究グループにより論文報告されました(JAMA 2012年1月25日号)。

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→BRCA遺伝子変異陽性と変異のない上皮性卵巣がん患者の生存を比較した28件の観察研究の結果を統合して解析しました。

これらの研究には,BRCA遺伝子変異陽性の1,213例(BRCA1遺伝子変異陽性909例,BRCA2遺伝子変異陽性304例)と変異のない2,666例が含まれた。登録は1987〜2010年(診断年の中央値1998年)で,追跡期間は研究によりさまざまであった。主要エンドポイントは5年全生存率とした。

その結果,5年全生存率は転移のない群が36%,BRCA1遺伝子変異陽性群が44%,BRCA2遺伝子変異陽性群が52%であった。研究と診断年を補正後,BRCA遺伝子変異陽性群は変異のない群と比べ生存転帰が有意に良好で,死亡のハザード比(HR)はBRCA1遺伝子変異陽性群が0.78,BRCA2遺伝子変異陽性群が0.61だった(ともにP<0.001)。

これらの生存の差は病期,グレード,組織学的所見,診断時の年齢を追加補正後も有意であった(HRはBRCA1遺伝子変異陽性群が0.73,BRCA2遺伝子変異陽性群が0.49,ともにP<0.001)。


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