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卵巣がんの分子標的治療(2)

抗インターロイキン6(IL-6)抗体であるCNTO328が、再発上皮性卵巣癌の治療薬になる可能性が2009年米国癌研究会議(AACR)で発表されました。

IL-6は炎症反応の指標であるCRPという蛋白質を作ります。つまり、炎症性サイトカインの代表的物質です。今回抗インターロイキン6(IL-6)抗体を使うと再発卵巣癌の方の臨床効果を認めたことは、慢性炎症が卵巣がんの発生、進行に深く関与していることが示唆されるものです。

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→  フェーズ2臨床試験は最大3種までの白金系抗癌剤の治療を受けたか、ファーストラインの治療として白金系抗癌剤の治療を受けている最中、または完了してから6カ月以内に再発した卵巣癌患者さんを対象に行われた。再発卵巣癌患者さんにはCNTO328を2週間置きに5.4mg/kgを静脈内投与した。FDG PET-CTスキャンによる評価前には最大で5回までの投与とし、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定状態(SD)の有効性が見られた患者には最大で12回まで投与することとした。その時点で有効性が継続していた場合には治療を6カ月延長すると決めた。

2007年8月に試験を開始 してから、現在までに17人の再発卵巣癌患者さんが登録されており、16人が少なくとも3回のCNTO328の投与を受けており、RECIST評価もしくは腫瘍マーカー CA-125による評価で、1人の再発卵巣癌患者さんがPR、6人の再発卵巣癌患者さんがSDとなった。臨床効果のあった7人中4人で、3回の治療後に倦怠感の改善が認められた。

IL6のサロゲートマーカーであるCRPが最初の6週間の間、検出限界だった再発卵巣癌患者さんは8人おり、臨床効果のあった6人全員が含まれていた。サイトカインプロ ファイリングを調べたところ、臨床効果の認められた再発卵巣癌患者さんでは、IL-6に加えて、IL-1β、IL-8、IL-10、TNF-α、CCL-2のレベルが病状が進行したグループよりも低下していた。 CNTO328に関連した副作用は見出されていないという。



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